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快適湿度と結露の因果関係

窓ガラスやサッシの結露は、カビやハウスダストの根源となり忌み嫌われます。家の温熱環境が快適かどうかは、住む人により感じ方が異なりますが、温熱環境マニュアルで勧める適切な暖房温湿度は、室温20℃湿度50%とされています。この適切といわれる温湿度の露点温度(結露が発生する温度)は、9.3℃です。 外気温しだいでは窓やガラスが9.3℃以下となり、そこに結露が発生いたします。

室温20℃でも湿度が30%になると露点温度は1.9℃になり、結露はほとんどありません。しかしこれは、明らかに乾燥し過ぎであり、空気が乾燥状態になっていると、静電気が発生してハウスダストが舞い飛び、ウィルス菌が発生しやすくなります。また、乾燥状態では、人のカラダから水蒸気が蒸発しやすくなり、気化熱で体温を奪われることから同じ20℃の室温でも寒く感じます。気温20℃の湿度60%では、露点温度は12℃になり、結露も生じやすく温かく感じるのです。 窓の下方部に薄っすらと結露が生じるくらいが、潤いがあり温かさを感じさせます。

報道等で乾燥状態をなくすため、加湿等の使用を促しますが、加湿するということは結露やカビやダニが発生しやすい環境をあえてつくることでもあり木材等には、腐朽菌を発生させ腐りやすい状況にもなります。同じ室温20℃でも、湿度を高くすると温かさを保持できますが、当然ながら結露との背中合わせとなります。気温20℃の室内に、大量の洗濯物を干すと湿度が一気に80%くらいまで上昇します。この時の露点温度は16.4℃となり、室温より僅か3.6℃低い部分に結露が生じます。これが窓ガラスなどの見える部分に発生する結露なら対応策が多いのですが、壁の中などの内部結露になると、とても厄介です。

グラスウールなど繊維系の断熱材は、結露で濡れて断熱効果を一気に劣化させてしまう場合があります。これらの断熱材を用いる場合は、外皮の内側につける防湿シートや、入った湿気を排出させる透湿シートなどを正確に取り付ける必要があります。また壁の中の配管などにも断熱養生をしっかりと行い、露点温度にならないような細心の施工技術を伴います。この結露は冬だけでなく、夏にも発生します。これは、住宅の性能が隙間風のない高気密・高断熱の住宅が普及したこと、エアコンが各家庭に普及しほとんどの家がエアコンを使用した生活をすることで、夏でも内部結露が起きるようなりました。

高気密・高断熱、省エネという謳い文句に踊らされ、消費者が夢のマイホームだと信じて建てた住まいが、結露により腐食してしまったという事実があるということ知らされず、気づかず、壁の中に結露やカビがでていてもわからないような家に住んでいる人が多いという現状が、今の住宅の真実です。